ビワの基礎知識

 

果物としてはちょっと地味な感じもするビワですが、初夏になって青果売り場に並び始めると季節感のある果物でもあります。ちょっとふっくらとしたオレンジ色の果実はビワ独特のものです。

 

実はビワは昔から「魔法の木」とも呼ばれていたのです。実に3千年前からインドの古い仏典の中にも出てきています。そこでは大変優れた薬効があって、万病を治す植物とされています。ビワの樹は「大薬王樹」、ビワの葉は「無優扇」(全ての憂いを取り除く)と呼ばれていました。

 

日本でも奈良時代には「施薬院」という救済施設で、病気の人々の治療にビワの葉が使われていました。

 

ビワ(枇杷)は、バラ科の常緑高木とその果実のことを指しています。ビワの原産は中国で、栽培も6世紀にはすでに行われていたようです。現在日本で栽培されているものも中国からの品種がベースになっています。

 

日本で栽培されるようになったのは江戸時代の中期頃ということで、千葉県の富浦で栽培がスタートしたとされています。ただ、その頃のビワの果実は小ぶりだったようで、それでも始めて栽培されたビワは江戸に出荷されていたとされています。

 

その後、江戸時代末期になってから中国品種が日本に入ってきたので、現在のように大玉のビワも本格的に栽培されるようになったのです。ビワは「枇杷」と書きますが、同じ漢字でも中国の呼称は「ピパ」と発音するそうです。